エッセンシャルオイルってどうやって採るの?

精油を採る方法

 

水蒸気蒸留法(水蒸気で蒸して芳香成分を得る)

 広範な沸点分布を持つ精油成分を一度に留出させるには、水蒸気蒸留が適している。原理については水蒸気蒸留を参照。狭義の精油としては水蒸気蒸留で得られたもののみを指す(他の方法利用のものは「精油」と呼ばないという意)。

 100℃以上の熱がかかるので、熱による変質が起こる精油の採油方法としては適切でない。 水蒸気の冷却後に得られる、精油とは分離された水の中には水溶性の芳香物質が微量に含まれていて「芳香蒸留水/ハイドロゾル」と言われる。これは一般的にフローラルウォーターなどと呼ばれる。

 

 油脂吸着法(油脂に芳香成分を吸わせる)

 脱臭した動物油脂などに植物を添加して精油を吸着させたのち、エタノールで精油のみを油脂から抽出する古典的な方法。古代エジプトの時代から行われていた熱を加える温浸法(マセラシオン)と、ルネサンス期に開発された室温で行う冷浸法(アンフルラージュ)がある。精油を吸着した油脂はポマードといい、そこからエタノールで抽出された精油はエキストラクト(エキス)、さらにそこからエタノールを蒸発させて除去したものはアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。冷浸法では熱による変質の無い非常に高品質な精油が得られるが、時間と手間が掛かりすぎるため現在ではほとんど行われていない。 冷浸法(アンフルラージュ) ジャスミンやバラなど、主に花から精油を抽出する場合に使われる方法。動物性脂肪や植物油を塗ったトレーに花びらを並べて載せ、花びらに含まれる精油をトレーのオイルに吸収させる。その後、トレーに塗った動物性脂肪・植物油から精油を分離し純化させる。

 

アブソリュート(Abs.)  油脂吸着法、揮発性有機溶剤抽出法、超臨界流体抽出法などで段階的な過程を経て最終的に得られた精油をアブソリュート(Abs.)と呼ぶ。狭義には揮発性有機溶剤抽出法で得られた精油を指す。 有機溶剤抽出法(芳香成分を有機溶剤に溶かしだして得る) 手間暇のかかる油脂吸着法にとって代わった方法。植物を有機溶剤(溶媒:石油エーテル、ヘキサン、ベンゼンなど)に浸し芳香物質を溶かし出した後、有機溶剤を気化させると芳香物質を含む半固形状の物質(ワックス。コンクリート)が残る。これをエチルアルコールに溶かし、-20℃~-30℃で冷却すると芳香成分とワックス成分が分離する。その後アルコールを除去して精油を得る。 水蒸気蒸留法と比べてたくさんの精油を抽出することができるという利点がある。また、水蒸気蒸留法のような熱の影響を受けないため、ローズやジャスミンなどの微妙な花の香りを得るには良い方法である。この方法で取りだした精油もアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。 しかし人体に有害である有機溶剤が少し残る場合もあり、この方法で取りだした「アブソリュート(Abs.)」を「精油」を区別する考え方もある。 ※油脂吸着法と有機溶剤抽出法で得られる(狭義の)エキストラクト、アブソリュート、コンクリート、オレオレジン、レジノイド、ティンクチャーは(広義の)エキストラクト(エキス)と総称される。 ティンクチャー(チンキ) 植物(バニラやローズなど)を単にエタノールやウオッカなどに浸し芳香物質を溶かし出した後、そのままアルコール成分を除去しないものもあり、これはティンクチャー(チンキ)と呼ばれる。精油成分が溶けている液体である。 食品用途のもの(薄めてハーブティーとして飲んだりする)はオレオレジン、化粧品用途のもの(化粧水やシャンプーなどに混ぜたりする)はレジノイドと呼ばれる。この方法で取り出した精油は油脂吸着法同様アブソリュート(Abs.)と呼ばれる。 超臨界流体抽出法(液化ガスなどを超臨界状態にして芳香成分を溶かし出して得る) 1970年後期に開発された方法。まず主に二酸化炭素などに高い圧力をかけ超臨界状態(超臨界流体)にする。この中に植物を入れておき芳香成分をその中に拡散・浸透させる。その後圧力を抜き流体を気化させると芳香成分だけ残る。この方法で取りだした精油もアブソリュート(Abs.)と呼ばれる。熱による成分の変質が無く、また有機溶剤抽出法のように有機溶剤が残るおそれが無いことから安全性が高い精油が得られるというメリットがある。しかし装置が高価なためあまり一般的でない。二酸化炭素を使いこの方法で抽出した精油を特にCO2エキストラクトまたはCO2と呼ぶことがある。 圧搾法(物理的に圧力を加えて絞り出す) 柑橘類は果皮の表面にある油胞に精油を含有しているので、果皮に圧力を加えて油胞を潰すことで精油を得ることができる。果皮を絞るスクイーズ法と果皮をおろしがねのようなもので擦るエキュエル法がある。現在では機械化されている。果汁と一緒に絞り精油を分離する方法もある。L-リモネンなどのテルペン類は熱による香調の劣化が激しいので、圧力をかけるときに発生するわずかな熱から香気成分を守るために、その際に冷却しながら圧搾処理することがある。冷却圧搾で得られた精油は特にコールド・プレスと呼ばれる。 熱による変質を受けにくいので自然のままの香気を保てる一方、他の精油製造法に比べて不純物が混ざる可能性が高く、精油の品質の劣化が早いことが欠点である。

 エッセンシャルオイル(精油)は、主に以下のような方法で抽出されます。

 

・水蒸気蒸留法

 

原料となる植物を蒸留釜に入れ、下から水蒸気を通します。芳香成分を含んだ水蒸気を冷却管で冷やし、水と分離するとエッセンシャルオイル(精油)が得られます。一緒に得られる水は「フローラルウォーター」と呼ばれ、水溶性の芳香成分が溶け込んでおり、わずかに香りがあります。

 水蒸気蒸留法は、現在、最も多く使用されている抽出方法です。

ラベンダー、カモミール、ローズマリーなどはこの抽出法により抽出されます。

 

・圧搾法

果実の皮から抽出する場合に用いられます。果皮を絞り、放置すると、果汁と分離した精油がとれます。 オレンジ、レモン、グレープフルーツなどは、この抽出法により抽出されます。

 

・溶剤抽出法

 花や樹脂から抽出する場合に用いられます。原料を石油エーテルなどの揮発性溶剤につけると、芳香物質が溶け出します。溶剤を揮発させると、香り成分と植物ワックスの塊(=コンクリート)ができ、これをさらにエタノールにつけると、再び芳香物質が溶け出します。最後にエタノールを揮発させれば完了です。

 

 ジャスミン、ローズ、ベンゾインなどは、この抽出法により抽出されます。 ちなみに、溶剤抽出法で抽出された精油のうち、花やハーブから抽出されたものを「アブソリュート」、樹脂などその他の部分から抽出されたものを「レジノイド」と呼びます。

 

 ・二酸化炭素抽出法(超臨界流体抽出法) 超高圧の二酸化炭素ガスを利用した抽出法です。高圧をかけて液化した二酸化炭素を使い、植物の芳香成分を抽出します。その後、常圧に戻して二酸化炭素を気化させれば、エッセンシャルオイル(精油)を抽出することが出来ます。 比較的新しい抽出法で、熱による物質の変質などが防げるメリットがあります。